LOVE☆合コン
−酒と私−
『酒と私』
〜初めての酔い倒れ編〜


酒−人に対して時に愉悦を、時に欲望を曝け出さしめる蠱惑的なDrink−
に初めて完全に呑まれたのは、忘れもしない大学一年の夏。

それまで幾度となく飲み会という時として現代の合戦とも形容しうる修羅場をくぐり、ようやく
自分の強さ、弱さを素直に見つめることが出来つつあったある夜−。

それは気のおけない友人との他愛もない飲みのはずだった。。
若さと勢いと無知という、飲酒にあたり最も危険な三種の神器を備えていた我々は、飲んだ。
ひたすらに飲んだ。
ビール、日本酒、ウィスキー、ウォッカ。。。
食道が焼けるような感覚は、青春の証だと思っていた。
そしてその時、歴史は動いた。。ようだ。

気づいたら一人、表参道の駐車場−それはコンクリートで固められた一面灰色の、
生命の息吹を全く感ずることの出来ない東京砂漠の主構成要素の一つ−に寝そべっているではないか。
時は朝4時台。
辺りはあくまでひっそりし、おしゃれなブティックの明かりをただ呆然と見つめていた。
やはり来た、この感覚。
心臓が脈打つ度に頭が割れるように響き、胸は歓迎しがたい違和感に満ちる。
「今日一日、何もできねーな」冷静に今日のプランニングを手がけようとする自分も、
喉の渇きが思考を止める。

桃の天然水−かゆい所に手が届くという思いは、このことなのか。
戦で疲れ果てた五臓六腑に、これ程優しく包み込んでくれそうな飲み物は、他にあるだろうか?
震える手で財布をまさぐる。
あった−何も盗られることなく、幸いにも120円が私に向かって微笑みかける。
「私を使って」と。
神様に感謝しつつ、自動販売機−いつでもどこでも、渇きを癒さしめるノーベル賞に値する
偉大な給水器、少なくともその時の私にはそう思われた−から桃の天然水をゲットする。
そしてかつ飲み、かつのた打ち回ること数時間。
せっかく補給した水分も、時に上の口から逆流することも何度もあった。
灰色の東京砂漠にオアシスを作るんだ、そんな言い訳は酸っぱい香りの前には通じない。
もはや時刻は午前8時。
意識を取り戻してから既に4時間弱たち、ここで勇気を振り絞り地下鉄−それは狭く小さい
大都市東京がその土地的制約下において世界にその存在感を示しつづける活力たる
サラリーマン始め国民を最大限に活動させるための大動脈−に乗り込む。
さながらフルラウンドを戦い抜いたボクサーのような足取りで。
表参道から目的地まで約30分でつくはずだった。
しかし普段なら心地よいはずの電車の振動が、胃を、十二指腸を、胆嚢をビートしてやまない。
たまらず途中下車すること4度。
ホームで何をしたかは想像力豊かな読者諸氏に任せたい。
目的地へ着いたのは午前11時。
そして私は暖かなベッドで床に臥せりきりになるのだった。。。



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